
事業の拡大に伴い従業員が増えていくと、企業はその規模に応じて、人事・労務でやるべき義務が生じます。今回は従業員の人数毎に、事業場に求められる義務をまとめました。
従業員50人以上の事業場に求められる義務
- 産業医の選任
- 衛生管理者の選任
- 衛生委員会の設置
- 定期健康診断報告書の提出
- ストレスチェックの実施
- 障害者の雇用(従業員45.5人以上)
- 休養室の設置
▽産業医の選任
労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任する義務があります。注意が必要なのは、50人以上の労働者を抱える事業場ごとに1人の選任が必要になり、労働者の人数が多い事業場や、業種によっては更に人数が必要となります。
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▽衛生管理者の選任
労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任する義務があります。衛生管理者は、事業場の衛生全般の管理や、労働者の健康管理を行うのが主な目的です。注意が必要なのは、事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数が異なります。

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▽衛生委員会の設置
労働安全衛生法により、衛生委員会は毎月1回以上、事業場ごとに開催しなければなりません。労働災害防止や労働者の健康管理について検討し、開催後は労働者に周知し、委員会ごとに議事録を作成し、3年間保管する必要があります。
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▽定期健康診断報告書の提出
定期健康診断は、労働安全衛生法により事業者には実施義務があり、労働者には受診義務があります。健康診断そのものは労働者数が1人からでも実施しますが、50人以上の事業場は、定期健康診断の結果を労働基準監督署に提出する義務が生じます。
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▽ストレスチェックの実施
ストレスチェックは、2015年12月より常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施が義務化されました。1年に1回定期的にストレスチェックを行い、検査結果の報告を労働基準監督署に提出する必要があります。
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▽障害者の雇用
2018年4月1日から法定雇用率が民間企業は2.0%から2.2%に変更されました。それに伴い、民間企業の事業主の範囲が、従業員50人以上から45.5人以上になりました。そのため労働者が45.5人を超えると障害者1名の雇用が義務になります。さらに毎年6月1日時点の障害者雇用の状況をハローワークに報告しなければなりません。
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▽休養室の設置
労働安全衛生法により、常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業場は、「労働者が臥床(がしょう)することのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」と規定されています。休養室とは、職場で従業員が急に体調が悪くなった場合などに休ませたり、救急車が来るまで待機させたりするため、横たわって寝ることができるスペースが必要になります。
従業員が50人以上になった際に発生する義務は労務法令関連がほとんどです。50人規模に達する前にあらかじめ担当者などを決めておくと、スムーズに対策や準備を実施することができるでしょう。