
国内初の新型コロナウイルス予防薬!?
アストラゼネカ社製「エバシェルド」とは?当社管理薬剤師が解説します。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりませんが、2022年8月30日に厚生労働省はアストラゼネカ社製の新型コロナウイルス予防薬・治療薬「エバシェルド」を特例承認しました。どんな人に使えるの?効果や新型コロナワクチンとの違いなど当社管理薬剤師が解説します!
■エバシェルドとは?
正式名称は、「エバシェルド筋注セット」で、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)製剤と、シルガビマブ(遺伝子組換え)製剤を混ぜたもので、新型コロナ感染症に対する予防薬、治療薬として開発されました。
しかし今回の特例承認においては供給量が限定的であるため、その使用は予防薬としてのみになっています。
■どのような時に使用するのか
予防薬としての効果を検証した臨床試験では、新型コロナワクチンの効果が不十分と考えられる、若しくは接種が推奨されないなどの18歳以上の被検者を対象として行われました。結果、偽薬を投与したグループに比べて予防薬投与群では、およそ77%発症のリスクが減少しました。治療薬としての効果も発症7日以内の投与により重症化・死亡のリスクが50%減少して、それらの効果はいずれも6か月は持続するということです。
■新型コロナワクチンとの違いとは
では、私達が接種している新型コロナワクチンとは何が違うのでしょうか。
ワクチンは抗原を投与して自身の免疫力で抗体を作り出します。そのため抗体ができるまで1~2週間程度かかります。
しかし今回の予防薬は抗体そのものを投与するため直接効果を現します。
■どのような方が使用できるのか
ではエバシェルドは、どのような方が使えるのでしょうか。
成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児で、
・新型コロナウイルスに対するワクチン接種が推奨されない方
・免疫機能低下等により 新型コロナウイルスによる感染症に対するワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある方となっています。
新型コロナウイルスに感染された方の同居家族など濃厚接触者には、有効性が示されていないため、使用できません。
今回予防薬という枠組みの新薬が日本で初めて承認されましたが、新型コロナ感染症の予防の基本はあくまでもワクチンで、免疫不全などでワクチンを受けられない方が今回の予防薬の投与対象となります。
出典:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「チキサゲビマブ及びシルガビマブ」の医療機関への配分について
https://www.mhlw.go.jp/content/000983741.pdf
出典:厚生労働省 新型コロナウイルス治療薬の特例承認について
https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000982472.pdf
■ 執筆 ■
竹内 敦子
たけうち あつこ
株式会社Central Medience
薬事センター管理薬剤師
昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、株式会社Central Medienceの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。
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