
悪夢障害とは
繰り返し見る悪夢によって睡眠が妨げられ、日常生活に支障をきたす状態を睡眠障害のひとつである「悪夢障害」と呼びます。悪夢障害の特徴は、眠りの浅い「レム睡眠時」特に明け方に見ること、数時間ごとに何度も目が覚めてしまい、そのたびに寝付くのに時間がかかる、さらには日中の生活に悪影響を与えて、昼間の眠気や認知力・行動力の低下を招くなどがあげられます。
悪夢を見るのは日々ストレスの多い大人よりもむしろ子供に多く、6~10歳頃がピークといわれ成長とともに夢見の頻度が減っていくといわれています。そのため、大人になっても悪夢を持続的に見る、悪夢のせいで睡眠や日常生活に支障をきたしているような場合は、心身の不調や病気といった可能性も考えられます。
悪夢障害の診断基準
悪夢の内容には個人差があり、不快に感じる基準も人それぞれです。そのことから、悪夢障害を診断するときは悪夢の内容で定義するのではなく、その夢によってどれだけ睡眠が妨げられたのかを基準にしています。
【悪夢障害の診断基準】(睡眠障害国際分類の基準)
- 中途覚醒(眠りの途中で目が覚める)が繰り返される
- 恐怖や不安、怒り、悲しみ、嫌悪感など不快な感情を伴う夢を見る
- 目を覚ましてからも悪夢の内容をはっきり思い出せる
- 悪夢で目が覚めた後は、再び寝付くのに時間がかかる
- 特に明け方に悪夢を見る
※1、2、3は必須。4、5はどちらかが該当していること。
この診断基準のポイントは、「悪夢によって目が覚めた」といえるかどうかです。
さらには、夢の内容よりも、本人がその夢を不快だと感じたかどうか、目が覚めてすぐに悪夢の内容を思い出せるかどうかなどになります。
悪夢障害の治療法
悪夢障害と認められる方の多くは、子供の頃から始まり何十年も悪夢を見続けている傾向があります。そのため、常に疲労感がつきまとい、眠気、慢性的なうつ症状、眠ることへの恐怖などから日常生活に支障が出ることも少なくありません。
逆に、うつ病や不安障害などの何らかのメンタルヘルス不調を抱えているから悪夢を繰り返し見るということも考えられます。
人はストレスを多く感じると眠りが浅くなり、夢を見やすくなります。そんな中で悪夢を繰り返し見るのであれば、日常生活において何かしらの精神的な負担を抱えているサインかもしれません。
もし悪夢が続く場合は、ただの夢と思わず、精神科などの医療機関を受診してみてください。