
厚生労働省は2017年5月30日、民間企業の法定雇用率を2020年度末までに2.3%に引き上げることを決めました。さらに2019年6月7日、「障害者の雇用の促進法に関する法律の一部を改正する法律」(障害者雇用促進法)が可決、成立しました。
これにより2020年4月1日には民間の事業主に対して以下2つの改正措置が施行されることとなりました。
①短時間労働者を雇用する事業主に対して、特例給付金を支給する制度
これまでの障害者雇用促進法では、週所定労働時間が20時間未満の雇用障害者は支援の枠組みの対象とはされておらず、事業主は障害者雇用調整金などの支援が受けられませんでした。一方で、障害の特性によって週20時間を超えて働けない人もたくさんいます。
そこで、短時間労働のうち週所定労働時間が20時間未満の雇用障害者数に応じて、特例的な給付金を事業主に支給する制度が創設されます。
【基本的な考え方】
- 雇用率制度の対象となる常用労働者については、これまで通り週20時間以上の労働者
- 週20時間未満の雇用障害者数に応じて、特例給付金を支給
- 支給額の単価は、調整金・報奨金の4分の1程度
- 支給期限は限定しない
- 支給対象となる雇用障害者の所定労働時間の下限は10時間
【各制度の対象者イメージ】
【支給要件・額】
雇用率制度と、障害者雇用納付金などの支援はこれまで通り変わりありませんが、新たに制定される給付金が受け取れるのは週所定労働時間が10時間~20時間の雇用障害者となります。
②障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度の創設
中小事業主においては、法定雇用義務があるにも関わらず、障害者を全く雇用していない企業が多く、障害者雇用の取組が停滞しているという問題があります。
このような状況から、先進的な取組を進めている事業主が社会的なメリットを受けることができるよう、認定制度が創設されることになりました。
【考えられる優良中小事業主の認定制度に係る評価項目例】
- 障害者雇用の推進体制の整備
- 障害者雇用に関する理解浸透
- 職務の選定・創出
- 職場環境の整備
- 雇用管理の充実
- 障害者を採用し、活躍を推進するための計画立案
- 募集・採用の取組
- 職場定着の取組
- 関係機関との連携
【認定のメリット】
- 自社の商品、広告等への認定マークの使用
- 認定マークの使用によるダイバーシティ・働き方改革等の広報効果
- 障害のない者も含む採用・人材確保の円滑化
- 好事例の相互参照・横展開 等
以上の2点が民間企業に影響する改正法案になります。
今回の障害者雇用促進法の改正措置は企業にとって様々なメリットが受けられます。
これを機に検討してみてはいかがでしょうか。
参照:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の概要」
参照:厚生労働省「特例給付金の支給要件等について」