
最近よく耳にするパワーハラスメントは、企業に対しパワハラ防止の取り組みを法律で義務づけ2020年から施行する見込みと言われていますが、セクシュアルハラスメントは、1999年から防止措置を事業主に義務づけています!
さらに2017年の1月からは、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業主に義務づけられています!これについては次回のコラムでご紹介します。
事業主のなかには、職場におけるセクハラの問題は、雇用管理上の問題であるという認識がない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、セクハラ防止措置のために企業が講ずべき10の対策について詳しく解説したいと思います。
職場におけるセクシュアルハラスメントとは
職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。
職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。
また、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、「性的な言動」であればセクシュアルハラスメントに該当します。
■「職場」とは
「職場」とは、通常労働者が就業している場所以外の場所であっても該当します。例えば、出張先・取材先・業務で使用する車中・顧客の自宅・取引先と打ち合わせをするための飲食店(接待の席も含む)
■「労働者」とは
「労働者」とは、正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用するすべての労働者のことをいいます。
■「性的な言動」とは
「性的な言動」とは、性的な内容の発言および性的な行動のことを指します。
〈性的な行動の例〉
- 性的な内容の発言:性的な事実関係を尋ねること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すこと、など。
- 性的な行動:性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為、など。
指針に定められている事業主が講ずべき措置の10のポイント
■事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
- 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
■相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談窓口をあらかじめ定めること。
- 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
■職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
- 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
- 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
- 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
■上記と併せて講ずべき措置
- 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
- 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
セクハラの解決は企業の対応次第になります!セクハラは、被害を受けた当事者がもちろん最大の被害者になりますが、同時にそうした行為を許した企業にも大きな損失をもたらします。
あなたが所属している会社は、これらを守れているでしょうか?
今一度、確認する必要があるかもしれません。
そして、今すでにセクハラの被害を受けているけれど、会社に頼れない場合には、労働局などの公的機関でも相談窓口があるので、そちらへ足を運んでみてください。