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いよいよ流行の季節 インフルエンザと風邪の違いは、初期症状!予防法や治療薬、感染しやすい人や重篤化しやすい人の特徴について当社専属の保健師が解説します

いよいよ流行の季節 インフルエンザと風邪の違いは、初期症状!

予防法や治療薬、感染しやすい人や重篤化しやすい人の特徴について当社専属の保健師が解説します

 

■CHECK POINT!
①インフルエンザと風邪の違いとは
②感染しやすい人、重篤化しやすい人の特徴とは
③予防するにはどうすればいい?

新型コロナウイルスの流行により、以前よりうがい手洗いや消毒の意識が高くなり、昨年はこの季節から増えてくるインフルエンザにかかった方は例年の1/1000ともいわれていました。今年すでにインフルエンザワクチンの接種を接種した方もいらっしゃると思います。今回のコラムでは、当社専属の保健師がインフルエンザと風邪の違いや治療薬、予防法やかかってしまった時の対応などについてご紹介いたします。

 


■インフルエンザとは?

インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症ですが、「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべき「重くなりやすい」病気です。このところ、2019年から感染が拡大している新型コロナウイルスの重症化のスピードが速いために、インフルエンザに対する、重症化の恐怖感が薄れてきているのではないでしょうか?

毎年世界各地で大なり小なりインフルエンザの流行がみられますが、温帯地域より緯度の高い国々での流行は冬季にみられ、北半球では1~2月頃、南半球では7~8月頃が流行のピークとなることが多いです。また、熱帯・亜熱帯地域では、雨季を中心としてインフルエンザが発生します。わが国のインフルエンザの発生は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に感染者数が増加し、4~5月にかけて減少していくパターンを示しますが、夏季に患者が発生し、インフルエンザウイルスが分離されることもあります。流行の程度とピークの時期はその年によって異なります。

■インフルエンザと風邪の違いとは?

具体的に、一般的な風邪とインフルエンザはどう違うのでしょうか?

感染ルート

飛沫感染:感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み感染する。
【主な感染場所】学校や職場、満員電車などの人が多く集まる場所

接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえその手で周りの物に触れてウイルスが付く、別の人がウイルスの付いた物に触ってウイルスが付着。その手で、口や鼻を触って粘膜から感染する。
 【主な感染場所】電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

インフルエンザが重症化しやすい人

○高齢者
○幼児
○妊娠中の女性
○持病のある方:喘息のある人、慢性呼吸器疾患(COPD)、
慢性心疾患のある人、糖尿病など代謝性疾患のある人 など

■インフルエンザ予防接種について

予防接種を実施しても本年度(2021/2022冬シーズン)は、

A/Victoria(ビクトリア) /1/2020(IVR-217)(H1N1)
A/Tasmania (タスマニア) /503/2020 (IVR-221)(H3N2)
B/Phuket (プーケット) /3073/2013 (山形系統)
B/Victoria (ビクトリア) /705/2018(BVR-11)(ビクトリア系統)の4種に効果があるといわれています。

これ以外のインフルエンザの流行があった場合は、感染はしますが重症化は抑えられます。接種後14日くらいで免疫が付きますので、12月になる前に接種できると、効果があると思われます。インフルエンザワクチンは、13歳以上は1回(0.5ml)の皮下注射で接種完了となります。

6カ月以上3歳未満の方 1回0.25mL 皮下注射 2回接種
3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL  皮下注射 2回接種

 

アレルギー等のある人は、主治医の先生によく相談しましょう。厚生労働省によると、今年度のインフルエンザワクチンの供給は昨年に比べて少ないようです。しかし、例年の使用量相当程度の供給はある見込みです。
新型コロナワクチン接種から14日空けて接種してください。こちらにも詳しいコラムがありますのでご覧ください。

インフルエンザ予防接種前に知りたい!新型コロナワクチンと他のワクチンの接種間隔は?当社専属保健師が解説します

 

■インフルエンザの治療薬について

インフルエンザにかかってしまったら・・・

①ほかの人にうつさないように注意しましょう。
②学校保健法により、インフルエンザ 発症後5日、かつ、解熱後2日(幼児3日)が経過するまで出席停止になっています。
③大人もインフルエンザ 発症後5日、かつ、解熱後2日は出社しないのが無難だと思います。(会社によっては、特別休暇になっているところもあります。)
 
では現在、インフルエンザ治療薬にはどんなものがあるのでしょうか?

①オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル等)
②ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
③ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
④ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)
⑤アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)(A型にのみ有効)
⑥バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)

ただし、その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断になります。
抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。A型にのみ有効なアマンタジン塩酸塩は、ほとんどのインフルエンザウイルスが耐性を獲得しており、使用の機会は少なくなっています。バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)については、薬剤耐性等の観点から、一般社団法人日本感染症学会と日本小児科学会が以下の趣旨の提言を出しています。

①12歳未満の小児では、慎重に投与を検討する(積極的な投与を推奨しない)。
②免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。

出典:厚生労働省 インフルエンザQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
出典:厚生労働省 インフルエンザ一問一答
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/leaflet20110208_01.pdf

厚生労働省では、インフルエンザをはじめとした感染症の一般的予防方法、流行状況や予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の皆様の疑問に的確に対応するため、「感染症・予防接種相談窓口」を開設しています。

【感染症・予防接種相談窓口】
 電話番号:03-5276-9337

(午前9時~午後5時 ※土日祝日、年末年始を除く)

 
 
■インフルエンザを予防するためには?

  • インフルエンザ予防接種の実施
  • マスク着用
  • 手洗い・うがい
  • 室内の湿度管理
  • 適切な換気
  • 定期的なドアノブ・スイッチ・電話などのアルコール消毒
  • 十分な睡眠
  • バランスの摂れた食事

 
しっかりと出来る限りの予防をして、インフルエンザにかからないよう気を付けていきましょう!


 

■ 執筆 ■
小岩 統子

こいわ とうこ
株式会社ヴェリタスジャパン
産業医ラボ.com専属保健師

臨床にてICU・内科・訪問看護を5年ほど経験したのち、
健康保険組合・企業などにて13年間産業保健師として活躍。
現在は、当運営会社 株式会社ヴェリタスジャパンに入社し、
産業医ラボ.comの専属保健師として活躍している。

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