
腸内環境と心の健康
最近、腸内環境がよくなると、健康の維持や向上につながるというのはテレビや雑誌などで取り上げられ、認識されるようになりました。さらに腸内環境がよくなると体の健康だけでなく、心の健康にもつながることがわかってきました。近年の研究では、自閉症やうつ病と腸内細菌叢に関係があるという報告もあります。
幸せホルモン「セロトニン」
幸せな気分、癒し、リラックス効果をもたらす別名、幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質のセロトニン。
実はこのセロトニンは90%以上が腸内で作られていて脳内で作用するのはわずか2%程度しかありません。しかし脳にある2%のセロトニンの量が減るとうつ病になってしまうとも言われています。
そして腸内で作られたセロトニンの元になるものが脳に運ばれるということも分かってきました。ですから腸内環境が整っているほどセロトニンをうまく作り出すことができ、心の健康にもつながるといえます。
セロトニンを作り出すには?
ではセロトニンはどうやって作られるのかというと、トリプトファンという必須アミノ酸の一種によって産生されます。このトリプトファンは体内で合成されず、タンパク質を摂ることで作られやすくなります。
食物に含まれるトリプトファンは、食物のタンパク質内に存在します。主にトリプトファンを多く含む食品は肉類では牛や豚、鶏のレバー、魚介類ではまぐろやかつお、そして大豆や乳製品などもあります。
日頃からこれらの食品を摂取し、セロトニンの産生を促しましょう。
腸内環境を整えるには?
しかしセロトニンの多い食品を摂取しているだけでは腸内環境を整えているとはいえません。
そもそも腸内環境を悪化させてしまう生活習慣として添加物の多い食事、喫煙や過度の飲酒、そして睡眠不足や精神的なストレスなどが挙げられます。
これにより正常時に比べて善玉菌の数が減少し、悪玉菌の数が増加するなどの腸内環境の変化を引き起こします。こうした腸内環境の変化はセロトニンの産生にも影響を及ぼします。
腸内環境を整えるためには、「食べ物」「適度な運動」「規則正しい生活」「自律神経を整える」4つの方法があります。最も大切なのは食べ物ですが腸内環境を整える食べ物は乳酸菌や食物繊維、オリゴ糖です。
普段からヨーグルトや発酵食品、野菜などを食べる習慣をつけるといいでしょう。そして適度な運動や規則正しい生活、十分な睡眠をとり、腸内環境を整えて心の健康を維持・向上させていきましょう。
最近気分が落ち込みやすい、やる気がでない、よく眠れない、疲労感や倦怠感が続くなどの症状があれば、もしかするとセロトニンの量が不足しているかもしれません。まずは腸内環境を整えることを心掛け、それでも症状が続く場合はお勤めの産業医に相談してみてください。