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新型コロナワクチン接種で話題の筋肉注射って?筋肉注射と皮下注射は何が違う?接種時の注意点とは?産業医ラボ.com専属薬剤師が解説します!

新型コロナワクチン接種で話題の筋肉注射って?筋肉注射と皮下注射は何が違う?接種時の注意点とは?

産業医ラボ.com専属薬剤師が解説します!

 

■CHECK POINT!

①注射にはどのような種類がある?
②筋肉注射と皮下注射ってどう違うの?
③新型コロナワクチン接種は、なぜ筋肉注射なの?

 

いよいよ6月21日から産業医による職域接種も開始された新型コロナワクチン接種ですが、接種方法は「筋肉注射」となっています。今回のコラムでは、産業医ラボ.com専属の管理薬剤師が「筋肉注射」について、また、ほかの接種方法についても解説いたします!

私事ながら、先日いよいよ新型コロナワクチン接種を目前にした母親から「私って太っているけど腕だけは細いのよね~!新型コロナワクチン接種って筋肉注射でしょ?あんなに深く差したら骨にあたっちゃうんじゃないかしら?先生に言った方がいいわよね?」と真顔で言われて目がテン。。。となりましたが、皆さまは、「筋肉注射」と他の注射の違いをご存知でしょうか??

 


 

注射にはどんな種類がある?

新型コロナワクチン接種は注射薬で筋肉注射することとなっています。インフルエンザワクチン接種は用法で皮下への投与が指示されています。これらの差はいったい何でしょう?
薬には様々な剤形があります。内服薬、外用薬、坐薬、注射薬などですがこれらのうち注射薬は最も即効性があります。目的に応じて皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射の4種に分類されます。

①皮内注射
皮膚の表皮とすぐ下の真皮の間に注射します。
ツベルクリン反応やアレルギー反応などの主に検査のために行われます。

②皮下注射
皮膚と筋肉の間にある皮下脂肪に注射します。
ワクチンやインスリンなどがこれにあたります。皮下注射は薬剤の吸収がゆっくりで効果が長く続きます。

③静脈注射
最も効き目が速く主に緊急処置に使われます。薬剤の量が多い場合や、長時間にわたって効果を持続する場合には点滴静脈注射を行います。点滴で栄養補給や水分補給などにも使われます。

④筋肉注射
皮下注射より吸収が速く、注射時の痛みも少ない。
静脈内注射の次に即効性があります。

筋肉注射と皮下注射はどう違うの?

今回新型コロナワクチンは必ず筋肉注射で接種します。皮下注射とはどう違うのでしょうか。海外では生ワクチンは皮下注射、インフルエンザ新型コロナワクチンなどの不活化ワクチンは筋肉注射というのが一般的です。しかしこれまで日本では筋肉注射はほとんど行われてきませんでした。

新型コロナワクチンで筋肉注射が推奨されるのは、筋肉注射では皮下脂肪より血流が豊富で免疫細胞も多く分布しているため速やかに免疫反応が行われるためです。また筋肉注射の方が皮下と比べて物理的な局所の痛みや腫れが感じにくく、新型コロナワクチンに含まれる成分によって起こる痛みや炎症も軽減できます。これらのことから海外では筋肉注射が一般的となっています。日本では過去に筋肉注射を繰り返した結果、子供の太ももの筋肉が動かなくなるという事故がありました。それ以来日本では皮下注射が一般的になったようです。しかしこれは筋肉注射に問題があったわけではなく、抗生剤や栄養剤など不必要に薬剤の投与を何回も行った結果のことでした。

 

新型コロナワクチン接種はなぜ筋肉注射?どこに接種するの?

今回のコロナ新型コロナワクチンでは筋肉注射の方がメリットも多く安全性にも優れていますので筋肉注射が標準とされています。注射部位は三角筋中央部です。肩峰から真下に3横指程度下の位置が目安になります。接種する部位が上方すぎると新型コロナワクチン関連肩関節障害、下方すぎると橈骨神経障害を起こすリスクがあるので注意が必要です。接種を受けるときは間違いが起こりにくいように肩がすっきり出るような服装を心がけましょう。

注射針は通常は太さ25G、長さ25mmのものを使います。しかし年齢や体格に応じて筋肉内に接種できるサイズを選んで使用します。高齢者など筋肉量の少ない人の場合は長さ16mmの針が推奨されています。

 

まとめ

集団接種や職域接種がはじまり、今までよりも幅広い年代の方が新型コロナワクチン接種を受けられるようになり、自治体の負担も減り更に接種スピードが加速しています。冒頭の私の母親も、なんだかんだ無事新型コロナワクチン接種を終えたのですが、少しでも早く今までの生活に戻れるよう、新型コロナワクチン接種を受けられる機会がある方はご自分にあった方法で接種していきましょう。

産業医ラボ.comでは職域接種に関するコラムも掲載しておりますのでぜひご覧ください。
https://sangyouilabo.com/sangyoui-news/vaccinationatwork/

 

執筆
竹内 敦子
たけうち あつこ

株式会社メレコム
薬事センター管理薬剤師

昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、同グループ会社 株式会社MeRecomの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。 

 

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