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花粉シーズン到来!新しい生活様式にあわせた花粉対策

花粉シーズン到来!新しい生活様式にあわせた花粉対策

 

2月頃より症状が出始める花粉症、現在辛い症状であるにも関わらず、コロナ禍で病院に行くことをためらっている方も多いのではないでしょうか?!そもそもこの症状は花粉症なのか?その対策法は?等、新しい生活様式にあわせた花粉撃退法をご紹介致します。

花粉症のセルフチェック

2月~5月頃にかけては、スギ、ヒノキなど植物の花粉の季節になります。先ずは花粉症の可能性があるか、簡単にご自身で診断してみませんか?



(出典)厚生労働省、的確な花粉症の治療のために

身体の似たような異常が発生しても、花粉が原因ではないケースがあります。
チェックの結果によってその対処法も異なってきますので、まずはご自身の症状が花粉症に当てはまるのか否か、見極めて置く必要があります。

・ 結果A(76%~100%)
花粉症の疑いが濃厚です。早めに医師の診断をお受けいただくことをお勧め致します。仕事や勉強などの日常生活に支障をきたさないような薬も処方してもらえるようです。

・ 結果B(51%~75%)
花粉症の疑いがあります。花粉症はその年の花粉の飛散量によって発症しない患者さんもいます。風邪との区別も医師でしか分かりづらいものです。一度、医師の診断をお受けいただくことをお勧めします。

・ 結果C(26%~50%)
花粉症の疑いは低いのですが、可能性がないとも言い切れません。気になる方は一度、医師の診断をお受けいただくことをお勧めします。

 ・ 結果D(0%~25%)
花粉症の疑いは低いです。ただし、この診断はあくまで目安的なものです。現在、スギ花粉症は日本人の約16%にあるといわれております。気になる方は医師の診断をお受けいただくことをお勧めします。

鼻炎症状を引き起こす植物



(写真)NPO花粉情報協会

花粉症というとスギヒノキ花粉によるもので、特に春にかかりやすいというイメージが強いです。しかし、鼻炎症状を引き起こす植物は他の季節でも数多く分布しており、よって花粉症は「通年病」とも言われつつあります。従って、春以外の季節だと「花粉症シーズンじゃない」という思い込みから、風邪と判断し、何の対策も講じていない人もいるようです。以上の写真は、鼻炎症状を引き起こす代表的な植物を季節ごとにまとめたものです。

花粉の飛散量と症状の関係

花粉の飛散量に比例して、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどが悪化する傾向があります。



(出典)花粉症ナビ、花粉の飛散量と症状の関係

関東地方を例にとると、スギ花粉の飛散は2月頃から始まり、4月下旬になるにつれ少なくなっていきます。と同時にヒノキ科花粉の飛散がはじまり、5月末頃まで続きます。くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみ・異物感などの症状は、花粉の飛散量に比例して悪化する傾向にあります。

※ 花粉症の可能性のある方は、医師の診断をお受けになることをお勧めいたします。(耳鼻咽喉科)

 花粉症の時期、日常生活で気を付けること

眼鏡(だてでも可能)をかけるだけでも体内に粘着する花粉数が大幅に減少します。また、バランスの取れた食事をし、常に健康を保つのが大事です。

花粉情報に注意する
飛散の多いときの外出を控える
飛散の多いときは窓、戸を閉めておく
花粉飛散の多いときは外出時にマスク、メガネを使う
帰宅時は、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをして、鼻をかむ
掃除を励行する
表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける
バランスのとれた食事をする

・ 補足説明④
鼻と目に花粉が付着しないようにすることで、防御器具が有効になります。通常のメガネだけでも、メガネをしていないときの目に入る花粉量の半分以下になります。また、マスクの着用も有用です。通常のマスクに湿ったガーゼを挟み込むだけでも効果があります。花粉症用のマスクでは、かえって息苦しい感じがすることもあるようです。

・ 補足説明⑧
そのほかに気をつけたいこととして、通常の生活では、粘膜を傷つけるタバコは避けて下さい。また、規則正しい生活やバランスのとれた食事が必要です。医学的には、特に1種類の食材を多く摂取しても、大きく症状が悪くなったり、良くなったりすることはないと考えられています。



※ 新しい生活様式では、マスクは必須なので、きちんとつけて花粉も予防しましょう。

■ 花粉症そのものの撃退法は?

花粉症の撃退法には大きく二つ:「対症療法」「根治療法」があります。

「対症療法」
点眼薬、点鼻薬など
内服薬などによる全身療法
レーザーなどによる手術療法

・ 補足説明③
花粉飛散の1カ月前くらいまでに粘膜を焼いてアレルギー反応を起こしにくくします。

「根治療法」
舌下免疫療法
原因抗原(花粉など)の除去と回避
アレルゲン免疫療法(減感作療法)

・ 補足説明①
花粉の飛散が少ない6月から11月ごろの治療となりますので、ご相談されて予約しておかれることをお勧めいたします。また、液状タイプ・錠剤タイプの舌下療法がありますので、主治医の先生の指示でどの治療にするのかご相談ください。

最新の重症花粉症に対する治療 「ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤」

ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤は2009年に気管支喘息の治療薬として、2017年には慢性蕁麻疹の治療薬として、日本で承認された歴史のある注射薬です。2020年よりスギ花粉症が新たに治療対象として保険承認がされました。

■ ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤を受けるための条件

ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤を受けるためには以下の4つの条件が必要となります。治療費が高額なので、花粉症治療薬として妥当なのか疑問に思われる方もいるかも知れません。その時は主治医の先生に判断してもらい、治療することになったら、医療費の支払いについて、加入の健康保険組合などにご相談ください。

条件①
重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)で前年スギ花粉シーズンでも重症な症状があった。(主治医の判断)

・ 条件②
スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)の結果が陽性だった。(スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FELA法で3.5UA/ml以上またはCLEIA法で13.5ルミカウント以上)が投与対象。

・ 条件③
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の既存治療を1週間以上行い、効果不十分であった。

・ 条件④
12歳以上で、血清中総IgE濃度が30~1500IU/ml、体重が20~150㎏の範囲にある。(初回投与前の結成中総IgE濃度および体重に基づき、ゾレアの投与量・投与間隔(薬剤費)が決定されます。)

■ まとめ

2~3人に1人は、花粉症であるといわれている昨今において、頭痛や鼻水、目の痒み、だるさ等の花粉症の症状は、集中力を欠き、多くの人の日常生活や就業に支障をきたしています。コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症と見分けがつかなく不安になったり、周囲の視線が気になったり、薬を処方してもらいに度々通院するのもストレスとなっている事でしょう。日常生活気を付けていても、やっぱり症状の辛い方は、上記のような新しい生活様式にあわせた治療法を検討されてみてはいかがでしょうか?

 

参考資料①:厚生労働省 的確な花粉症の治療のために(第2版)
大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科)

参考資料②:ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について
(保医発1211第2号)

 

■ 執筆 ■
小岩 統子
こいわ とうこ
株式会社ヴェリタスジャパン、産業医ラボ.com専属保健師
臨床にてICU・内科・訪問看護を5年ほど経験したのち
健康保険組合・企業などにて13年間産業保健師として活躍

 

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