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【韓国通信 第2回】隣国は今 日々増え続ける新型コロナウイルス感染者数 韓国、ソーシャルディスタンス対策―最高レベルのステップ4を初施行

韓国通信 第2回】隣国は今 日々増え続ける新型コロナウイルス感染者数

韓国、ソーシャルディスタンス対策―最高レベルのステップ4を初施行

 

当社韓国オフィスのLYOUによる、韓国の新型コロナワクチン関連のニュースや現状などや日本との違いなどを「韓国通信」と題して定期的にお伝えしています。
第2回目の今回は、「韓国で実施されている新型コロナウイルス対策と、その課題」についてご紹介いたします!

 

 日本政府は新型コロナウイルス感染の再拡大が続く東京都に対し、7月12日から8月22日まで、4回目の「緊急事態宣言」を発令しました。菅総理は「6月末以降から感染者数の増加が続いていて、重症者の数・病床の利用率は低い水準を保っているものの、変異種の影響を考慮し、対策を強化する」と述べましたが、今回の発令で本当に効果が落ち着くのだろうか?あとどのくらい我慢すれば自由な生活に戻れるのだろうか?など、不安や疑問を抱いている方はとても多いと思います。それは隣国である韓国にも言えることです。韓国に来てもう2か月が過ぎようとしていますが、いまだに新型コロナウイルスの終息は程遠いものと感じております。

 

■韓国のソーシャルディスタンス対策とは?

現在、韓国では7月12日から2週間、首都圏におけるソーシャルディスタンス対策―初のステップ4が施行されています。日本では「緊急事態宣言」がありますが、韓国では、感染者率に応じてその措置内容が異なる段階別防疫策=「ソーシャルディスタンス対策ステップ型となっています。

ステップ1から4までの4段階の基準が設けられており、現在施行されているステップ4は、最高レベルとなっています。

日本の「緊急事態宣言」となにが違う?

日本の「緊急事態宣言」と違う点は、各段階の基準に応じて確実な強制力を持つ、という点といえるでしょう。例えば、日本では「20時以降の営業を控える」という勧告に近いものであることに比べ、韓国では必ず守らなければならない「ルール」です。ステップ4において、小規模の集まりであれば「18時以降は2人まで集まるのが可能・18時以前は4人まで可能」といったルールを設け、それに従わない人やお店には罰金や法的措置が課せられます。実際、韓国・インチョンでは2021年の4月、知人の家で新年パーティーを開いた10人に対し「感染病の予防及び管理に関する法律違反」で罰金刑を宣告したことがありました。

 

あるのは強制力だけ?感染者数と共に増え続ける国民の不安と疑問

韓国での感染者数は6月12日から急激に増加し、7月17日には一日の新たな感染者数が1400人を突破しました。

国がルールを明示し、個人の裁量が行き届かないところの管理・調整をすることは必要だと思います。その形がどうであれ個人の自由を抑制していることをきちんと認識し、国民が納得できるルールでなければいけません。また、予想される経済的被害に対しては積極的なサポートを行わなければいけません。しかし現在行われている対策は強制力ばかりが目立ち、経済回復を見据えたものとは思えません。公衆衛生に対する教育の不足局所的な中小企業への融資支援非労働者に限定されている災難支援金などを改善し、現在のソーシャルディスタンス対策と共により効果的な経済支援策を並行して行わなければなりません。韓国ではいまだに移動式PCR検査や、唾液による抗体検査など、素早く感染・非感染の確認ができる装置や体制が整っていない印象です。

日本ではかなり浸透されているテレワークも韓国ではいまだに広がっていません。通勤による接触を減らすだけでも感染の予防はできると思います。やや遅れた感はあるのですが、ワクチン接種率を上げるためにもテレワークの積極的な推奨は必要で、そのバックアップ制度として、日本のような産業医制度の導入も必要だと思います。韓国人として思うのですが、特に組織文化において韓国は日本のあとを追っているような気がします。日本で発生した問題を未然に防ぐためにも、日本の産業医制度や健康経営が活性化された経緯を見極め、それをベンチマーキングする勇気が、韓国側に必要なのではないかと思います。

 

 以上、簡単ではありますが、韓国で実施されているコロナ対策と、その課題についてまとめてみました。今後納得のいく・安心できるソーシャルディスタンス対策が設けられることを、韓国人として強く願っております。次回は、現在韓国に使われているワクチンの種類と、ワクチンに対する世論の意識についてお伝えする予定です。お楽しみに!

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

 


 

■ 執筆 ■
産業医ラボ.com 韓国オフィス特派員LYOU

 

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