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「はしか(麻しん)」が3年ぶり流行の兆し? 危険な合併症の症状や、予防接種についてご紹介します

「はしか(麻しん)」が3年ぶり流行の兆し? 危険な合併症の症状や、予防接種についてご紹介します

「はしか(麻しん)」が3年ぶり流行の兆し?

危険な合併症の症状や、予防接種についてご紹介します

 

日本で3年ぶりに「はしか」の感染が確認されたというニュースが流れているのをご覧になった方はいらっしゃいますでしょうか?はしかは「麻しん」とも呼ばれる感染症で、感染力が非常に強いと言われています。今回のコラムでは、症状や感染、予防接種や治療についてご紹介いたします。

 


 

■麻しんとは?

はしか(以下麻しんと表記)は、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。
感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。
免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

出典:厚生労働省 麻しんについて
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html

 

麻しんの症状や合併症とは

感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。
肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。

 

日本でも感染が確認されています

令和5年5月現在、海外における流行が報告されています。日本でも、海外渡航歴のある方の国内における感染事例が報告されており、周囲へ感染させる可能性がある時期に県外への公共交通機関を利用した移動や、不特定多数の人が集まる施設の利用歴がありました。同じ交通機関を利用した者を中心に、東京都において麻しん患者の発生が確認されています。二次感染例が報告されていることから、今後、過去数年間、麻しんの報告が見られなかった地域でも症例が発生する可能性があります。

●海外渡航前の注意事項

・渡航先の麻しんの流行状況を確認する
・母子保健手帳などを確認し、過去の麻しんの予防接種歴、り患歴を確認する
・過去2回接種した記録がない場合は、渡航前に予防接種を検討する
・麻しんの、り患歴やワクチン接種歴が不明な場合は、抗体検体を受けることも検討する

●麻しんにかかったかもしれない?と思ったら

発疹、発熱などの 麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることをかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してから、その指示に従ってください。麻しんの感染力は非常に強いと言われていますので、医療機関へ移動される際には、周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用を可能な限り避けてください。

●妊娠されている方は特に注意!

妊娠中に、麻しんにかかると流産や早産を起こす可能性があります。
妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきですが、既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ませんので、麻しん流行時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。また、流行時に、同居者に麻しんにかかる可能性の高い方(例えば 麻しんの感染歴がなく、麻しんワクチンの2回接種が明らかでない者で、麻しんウイルスに曝露される可能性が高い者など)がいらっしゃる場合はワクチン接種等の対応について、かかりつけの医師にご相談ください。

 

 

治療法は

特別な治療法はなく、症状を軽くするための治療がなされます。中耳炎や肺炎などの別の病気に同時にかかってしまった場合には、抗菌剤を投与する必要があります。

出典:厚生労働省検疫所 感染症についての情報
https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name62.html

 

 

予防にはワクチン接種を

麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性があります。また、定期接種の対象者だけではなく、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人も、麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種を検討してください。
世界における麻しんの発生状況などは厚生労働省が下記のリンクにて紹介していますので、ぜひご確認ください。

 

●ワクチンの効果は?

麻しん含有ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
生まれ年にもよりますが、のワクチンの定期接種が1回だった、もしくは定期接種の機会がなかった方も多くいらっしゃいますのでご自身の母子手帳を確認してみましょう。

■まとめ

麻しんにかかったことがなく、2回の予防接種を受ける機会がなかった方で、特に医療関係者や児童福祉施設等の職員、学校などの職員など、麻しんにかかるリスクが高い方や麻しんにかかることで周りへの影響が大きい場合にも、予防接種についてかかりつけの医師にご相談ください。

 


 

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