
産業医の役割を強化する働き方改革関連法が昨年の4月に施行され、産業医を再選任する企業が増えています。
その理由は、ただ必要な書類にサインをするだけなどの、いわゆる「名義貸し産業医」が少なくないからです。
パワーハラスメントや長時間労働による過労死、過労自殺など、昨今における労災の発生件数が増え、適切な面接指導や事後措置を行える産業医への見直しを行う企業が増えています。
産業医の「名義貸し」は違法です!
産業医の名義貸しが違法なのは、産業医が「労働安全衛生法」で定められた業務を行わないことが労働安全衛生法違反になるからです。
しかし、この産業医の名義貸しは、意図せずに陥ってしまうことがあります。
- 人事や労務担当者が違反に気づかないケース
- 産業医が職務範囲を認識していないケース
1つの事業場で、産業医の選任義務の規定である従業員が50名を超えそうになり、急いで産業医を探さなければならないときに陥りやすいです。
産業医自身が名義貸しに疑問を持たず、本来の業務の範囲を理解していない可能性が高く、名義貸し状態が発生してしまうケースも少なくありません。
さらには、コストを抑えるために意図的に産業医の名義貸しを依頼している可能性もあります。
ですが、産業医の名義貸しには大きく3つのリスクを伴います。
- 法律違反による罰則
- 違反企業として公表される
- 追加の支払い
産業医の未選任や、実態のない名義貸し選任の場合、労働安全衛生法違反として「50万円以下の罰金」を科せられてしまうことがあります。
厚生労働省は「労働基準関係法令違反に係る公安事実」として、労働基準関係法令違反をした企業名を公表しています。これは誰もがウェブサイトから閲覧することができるため、労働環境が整っていない企業という印象を与えたり、企業自体の信用や社会的地位が失われかねません。
労働安全衛生法違反をきっかけに、残業代や長時間労働などさらなる調査が入る可能性があります。そこで未払いなどの違反が発覚した場合には追加の支払いをすることになるかもしれません。
「名義貸し」が発覚する理由
産業医の名義貸しの多くは、労基署による企業への立ち入り調査によって発覚します。
労基署の調査には、例えば以下のようなものがあります。
○定期監督
労基署による通常調査のことです。調査される企業はランダムに選出されます。事前に調査日程を調整し、必要な資料などの連絡があったうえで調査に訪れることが多いようです。
○申告監督
労働基準法や労働安全衛生法に違反しているという内部告発があった場合に行われる、立ち入り調査です。あらかじめ調査する旨や日程を伝えてしまうことで証拠を隠滅されてしまう可能性がありますので、調査に行くことは伝えず抜き打ちで行います。
従業員の心身の健康は、企業の生産性にもつながっていきます。
そのために産業医がいることによって、どのような職場環境にしたいのかを明確にすることが大切です。
適切な指導を行える産業医を選任しましょう!
弊社では独自のネットワークを通じて、貴社に最適な産業医をご紹介します!