
【お名前:黒木さん / 性別:男性 / 年代:30代】
企業で働く上で、従業員には自己保健義務があると聞いたのですが、自己保健義務ってなんですか?
ご質問ありがとうございます。
日本では、働く人々の健康管理に関して、会社は安全配慮義務を負い、労働者は自己保健義務というものを負っています。
安全配慮義務とは、会社が労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、職場の環境や勤務体制、件子管理体制に配慮を行うという義務のことです。
労働契約法第5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と安全配慮義務を規定しています。
しかし労働者の安全は企業の努力のみによって達成されるものではなく、企業が行う措置に対して労働者が協力しなければ、労働者の健康維持・増進は達成されないとし、そこで労働安全衛生法によって定められたのが自己保健義務です。
自己保健義務とは、従業員に求められている義務で、安全で健康に働けるよう、自らの健康状態を注意し、管理していくことを言います。
労働安全衛生法は、原則として事業者に対する各種の措置義務を定めている法律ですが、労働者に対しても同法第26条において、「労働者は、事業者が講ずる措置に応じて必要な事項を守らなければならない」と定めて、労働者にも罰則付きで遵守義務を課しています。
例えば、事業者に対して「労働者に作業帽を着用させなければならない」(労働安全衛生規則第110条第1項)と定め、労働者に対しては「作業帽の着用を命じられたときは、これらを着用しなければならない」(同条第2項)と定めています。
さらに、健康管理に関しては、労働者自身の身体や心の内面の問題もあり、労働者自身が自分の健康を自分で保持する行動をとらなければ、いくら使用者側が配慮しても無意味になってしまうため、労働者の自己保健義務の履行は重要となっています。
そのため、健康管理の基礎となる健康診断についても、事業者に対して定期健康診断を義務づけるとともに、労働者に対しては「労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない」(労働安全衛生法第66条第5項)と労働者自身の義務を定めています。
職場の安全と健康を確保するためには、使用者による安全配慮義務と労働者による自己保健義務の履行が大変重要となるのです。
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