COLUMN

いつも家を出るときにガスや電源・鍵などを何度も確認してしまいます。家を出た後に不安になり自宅に戻ることもあります。これはおかしいでしょうか?

【大澤先生の一問一答】

大澤先生へ質問

【お名前:早織さん / 性別:女性 / 年代:20代】
いつも家を出るときにガスや電源・鍵などを何度も確認してしまいます。家を出た後に不安になり自宅に戻ることもあります。これはおかしいでしょうか?

大澤先生からのご回答

ご質問ありがとうございます。

強い不安やこだわりによって日常に支障が出てしまう病気で「強迫性障害」というものがあります。

これは、自分の意思に反して、不合理な考えやイメージが頭に繰り返し浮かんできて、それを振り払おうと同じ行動を繰り返してしまい、日常生活にも影響が出てきてしまう病気です。

症状は、抑えようとしてもしつこく、繰り返し生じてくる考えやこだわりなどの「強迫観念」と、手を洗ったあとでも汚れが気になり必要以上に何度も手洗いを繰り返したり、戸締りや火の元をしつこく確認しても安心できずに何度も繰り返すといった「強迫行為」があります。
それが習慣性をともない、どんどんエスカレートしていくと日常生活に支障をきたしてしまうほどの状態になります。

全人口のうち強迫性障害にかかっている人は1.2%、50~100人に一人の割合と言われています。
この障害の患者さんは、同じような行動を繰り返すことに意味がないと感じています。しかしながら、強迫観念に抗うことができず、大きな葛藤やストレスを感じていても、障害を性格の問題だととらえて受診せずにいる人や、精神科を受診することにためらいがあって、日常の不便を我慢している人が多いかもしれません。

発症には、性格的な側面、遺伝的要因、環境要因に加え、器質性疾患(感染症など)による脳機能の異常など、多様な要因が関係していると考えられていますが、なぜ強迫性障害になるのか、原因ははっきりとはわかっていません。
強迫性障害の治療方法は主に「薬物治療」と「認知行動療法」の2つを中心に行われます。
薬物療法では、強迫性障害の原因のひとつと考えられているセロトニンの異常を調整する働きを持つ薬を使用します。
認知行動療法では、強迫行為の回数を次第に減らしていきます。達成できる目標を段階的に設定して、患者さんが強迫観念による不安に立ち向かい、それを克服していくことで自信をつけていきます。

もし早織さんの確認行為が日常生活に支障をきたしているようであれば、お近くの精神科などの医療機関に受診することをおすすめします。

早織さんのできることから始めてみてください。



ご質問はこちらよりご連絡ください。
お気軽にご相談ください

関連記事

  1. 【大澤先生の一問一答】 先日、仕事のミスで部長から叱られました。私はパワハラだと思わない…
  2. 【大澤先生の一問一答】 最近お腹の調子が悪くて病院に行ったのですが、これという原因もなく…
  3. 【大澤先生の一問一答】 嫌なことがあって、心のモヤモヤをなかなか消すことができないです。…
  4. 【大澤先生の一問一答】 中学生の息子がどこにいても、何をするときでもスマホを手放しません…
  5. 【大澤先生の一問一答】 最近テレビで歌手の男性が心身症で芸能界を引退するというニュースを…
  6. 【大澤先生の一問一答】 最近、台風が多く天候が変わりやすいせいなのか、めまいや頭痛、イラ…
  7. 【大澤先生の一問一答】 頑張りたいのに頑張れないです。どうしたらいいですか?
  8. 【大澤先生の一問一答】 私の職場にはストレスチェックというものがありません。どんなことを…

Facebook

最新の記事

  1. “睡眠の秋”がやってきた! ひどい「いびき」は他の病気のサイン!? 睡眠時無呼吸症候群など、いびきに潜む病気について紹介します。
  2. 9月18日は敬老の日です。 「骨粗しょう症」を予防するためにはどうすればいい? 食生活のポイントについても解説します。
  3. 9月20日より、新型コロナワクチン「令和5年秋接種」スタート 接種対象者は、初回接種を終えた6か月以上の方全員! 感染者数が急増の今、新型コロナワクチン接種についておさらいしよう。

おすすめ記事

  1. 【大澤先生の一問一答】
PAGE TOP