
【お名前:大谷さん / 性別:女性 / 年代:20代】
前回の一問一答で、産業医面談は秘密を厳守すると書いてあったのですが、本当に上司とかに相談内容がバレたりしないのですか?
ご質問ありがとうございます。
この質問はわりと皆さんが思っていることではないでしょうか。私自身も、「なんだかんだ言ってバレるんじゃないの?」などと聞かれることがあります。
そもそも産業医は、会社と労働者との間に立つ中立的な立場であり、もちろん一般の医者と同様に守秘義務を負っています。また、労働安全衛生法も、産業医が健康診断等の実施によって知り得た労働者の秘密を漏らすことを禁じています。したがって、産業医であっても、労働者の同意がない限り、労働者の健康管理情報を上司に伝えてはならないのが原則です。
基本的に産業医は本人の不利益になるようなことは会社に伝えません。
しかし業務上配慮が必要になった場合、もちろん本人の同意を取ったうえで、部分的に健康情報を会社に説明することもあります。
産業医の中には面談しっぱなしで意見書を書いて「はい、終わり」という方もいるかもしれませんが、多くの産業医は面談後、人事担当者や場合によっては上司に面談結果をフィードバックする時間をつくっています。
このときに、就業上の措置が必要となった場合は、本人が言ってほしくない内容は伏せて、本人が同意した範囲の情報をもとに就業上の措置の目的や内容などについて理解が得られるように必要な説明を行うことがあります。そして、職場で少し配慮していただきたいポイントを伝えたりします。
たとえば、
“新人Aさんは苦手な先輩が同じチームにいることで仕事に集中できずミスを繰り返して上司も心配している”
という相談があり、Aさんが先輩の名前は伏せてほしいがチームの異動を希望している場合、上司にはAさんは同じチームに苦手の人がいることで仕事に集中できずミスが重なっていた、そのためチームの異動を希望している、というように本人が伏せてほしいということは決して伝えません。
※これはあくまで例ですので、必ずしも上司にフィードバックを行うとは限らないし、産業医面談を行ったからといって配置転換などがすぐにできるわけではありません。
このように上司などへ話してほしくない内容などは産業医に直接伝えておくことが重要です。
ただし例外として、開示することが労働者に明らかに有益である(例:労働者が自傷行為に及ぶ可能性が高いなど)場合や、開示しないと公共に不利益である(例:伝染病などの感染)と思われる場合は同意がなくても報告していいと厚生労働省が認めています。
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