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新薬はアルツハイマー型認知症の救世主となるか?産業医ラボ.com専属管理薬剤師が解説!新薬が承認されたと話題の“アルツハイマー型認知症”とは?

新薬はアルツハイマー型認知症の救世主となるか?

産業医ラボ.com専属管理薬剤師が解説!新薬が承認されたと話題の“アルツハイマー型認知症”とは?

 

■CHECK POINT!

①認知症で多くの割合を占めているアルツハイマー型認知症とは?
②現在の治療薬と新薬の違いは?
③将来の発症のリスクを下げるために出来ることとは?

 

今月7日FDA(アメリカ食品医薬品局)は米製薬会社バイオジェンと日本の製薬メーカーエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症新薬「アデュカヌマブ」を承認したことを発表しました。同時にエーザイの株価が急騰したのは期待の現れもあるのでしょうか。今回のコラムでは、産業医ラボ.com専属の管理薬剤師が「アルツハイマー型認知症」について、原因やこれまでの治療薬との違いについてなどわかりやすく解説いたします!

 


 

アルツハイマー型認知症とは?症状は?

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。脳の細胞が壊れることによって記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などの症状がおこります。これらの症状によって周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。

日本では2012年で認知症の有病者が462万人、2021年には700万人を超えていると推定されています。その認知症のうちの60%以上を占めるのがアルツハイマー型認知症で超高齢化社会が進行する先進国にとって大きな問題のひとつです。

出典:厚生労働省 認知症施策の総合的な推進について

発症原因は?

アルツハイマー型認知症の発症原因は実はまだ解明されていません。しかしアルツハイマー型認知症では脳に老人斑と言われるシミが蓄積されることがわかっています。これはアミロイドβと呼ばれるタンパク質で、健康な人の脳にも存在し通常は脳内のゴミとして短期間で分解され排出されます。しかし加齢などによりアミロイドβが凝集し排出されずに蓄積されていきます。この異常なアミロイドβの毒性により神経細胞やシナプスが傷つけられた結果脳が萎縮して認知症を発症するのではないかと言われています。

 

■これまでの治療薬とは?

これまで多方面からの研究により様々な治療薬が研究されてきました。しかし開発を断念すること数知れず。現在日本では4種類の治療薬が認可されています。その中でもアリセプトレミニール知症症状の進行を抑制するとして多く使用されています。しかし驚いたことに添付文書には“本剤がアルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。”かつ有効性は確認されていない。と示されております。症状の進行を多少抑制するかもしれない程度の認識です。フランスでは副作用のためにかえって患者のQOL(生活の質)を著しく下げる場合もあるとして、医療保険の対象から外しています。

 

新薬は今までの治療薬と何が違う?

今回エーザイが開発した治療薬はこれまでの薬と異なり、脳に蓄積するアミロイドβを抗体でトラップして排出するとされています。アルツハイマー型認知症の原因がアミロイドβの蓄積が原因であれば、この薬は画期的と言えるでしょう。期待の声がある一方、アミロイドβの蓄積は単なる結果にすぎず原因ではないのではないか?という懐疑的な意見も上がっています。そこから抗ホモシステイン酸などアミロイドβの毒性を強める物質などについても研究が進められています。

 

■発症しやすいといわれている原因とは? 

アルツハイマー型認知症は下記の表にあるような原因で発症することが多いといわれています。

 

■将来の発症リスクを減らすために

今後歳を重ねて行く私たちにとってできることは無いのでしょうか。東京医科大学病院 羽生春夫教授によると、生活習慣や睡眠でアルツハイマー型認知症のリスクを減らせるとの報告があります。アミロイドβはノンレム睡眠時に脳から排出されることが分かっています。睡眠不足や浅い眠りを繰り返したりする人は脳にアミロイドβの蓄積が進みます。7時間の睡眠に比べて6時間以下では発症リスクが1.36倍になります。だからと言ってだらだらと睡眠時間を延ばしても効果はありません。質の良い深い眠りのある睡眠が大切です。また軽い運動が最も効果的です。特にウォーキングなどの有酸素運動は脳の血流をよくする効果があります。1日30分以上の運動を週3日以上が目安になります。同時にパズル、ゲームなどの頭の運動ができればなお効果が上がります。

人生100年時代と言われるようになって寿命も延びつつありますが、医薬品のさらなる開発を待ちつつ健康で長生きできることを目指して少しの努力も必要かもしれませんね。

出典:厚生労働省 認知症予防・支援マニュアル

 

 執筆
竹内 敦子
たけうち あつこ
株式会社メレコム
薬事センター管理薬剤師

昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、同グループ会社 株式会社MeRecomの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。

 


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