
受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が7月18日、参院本会議で成立しました。
公共の場での屋内禁煙を初めて罰則付きで義務付けられ、これにより都内の病院や行政機関、学校、飲食店などが完全禁煙となります。
別名「たばこ病」とも呼ばれるCOPDは受動喫煙もその危険因子となります。
この法案が成立したことで、受動喫煙によるCOPDのリスクも減少することになるでしょう。
COPDとは
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。
1、坂道や階段の上り下りで息切れするようになった
2、せきやたんが多く、なかなか治らない
3、40歳以上で喫煙している(いていた)
これらに当てはまるものがあればCOPDの危険性があります。
現在、500万人以上の患者が存在すると推定されていますが、大多数が未受診、未治療の状態であると考えられます。死亡者数は増加傾向にあり、医療費は増大してきています。
COPDの症状は咳や痰で、長い時間をかけて進行するのが特徴です。進行すると、ひどい息切れによって日常生活にも支障を来すようになり、最悪の場合は死に至るケースもあります。さらに最近では、COPDが肺だけでなく全身にも影響を及ぼすことがわかってきました。喫煙によって肺に起こった炎症が全身に影響し、糖尿病や心血管障害(心筋梗塞、狭心症、脳血管障害)が引き起こされる恐れがあります。
最大の原因はたばこの煙
呼吸器の病気は感染によるものが多いのですが、COPDは生活習慣と深い関わりのある病気で「たばこ病」とも言われているようにCOPDの原因の90%がたばこの煙です。
COPDの予防法・治療法
COPDの予防法としてはたばこを吸わない、煙に近づかないに尽きます。
治療法としては、禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーションなどが行われます。
そしてCOPDには、呼吸困難、せき、たんなどの症状が短期間で急激に悪化する増悪期があります。呼吸困難が悪化する、たんが増える、たんが粘っこくなるなどの症状が急に現れたら、なるべく早めに受診しましょう。
たばこは吸わないに越したことはありませんが、気分転換やストレス解消で吸う方も多いと思います。
しかし近年の研究により、喫煙はストレスを増加させ、うつ病や不安障害などの精神疾患の発症リスクを高めていることが明らかになってきました。
受動喫煙対策法が成立したことにより、喫煙できる場所が限られるようになっていきます。この機会に、まずはたばこの本数を減らすことや禁煙外来などの専門家、産業医などに相談することからCOPDのリスクをなくしていきましょう。