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国内初の新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」に期待!?有効性や対象者など当社専属の管理薬剤師が解説します

国内初の新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」に期待!?有効性や対象者など当社専属の管理薬剤師が解説します

国内初の新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」に期待!?有効性や対象者など当社専属の管理薬剤師が解説します

 

2022年もはじまり、昨年後半からしばらく落ち着いていたコロナウイルスもオミクロン株の出現でいよいよ急速に拡大する気配を見せてきました。重症化率は低いとは言われていますが未だ明確な研究結果は出ていません。感染が広がれば社会に多大な影響もあり、また今後さらなる変異株の出現も考えられることからできる限り拡大を抑えることが大切です。今後自宅療養者が増えることが考えられますが、軽症のうちに対応できる薬が今後重要な役割を担っていきます。今回のコラムでは、国内で初めて特例承認された新型コロナウイルス経口治療薬の「モルヌピラビル」についてご紹介いたします。

 


 

モルヌピラビルとは?

「軽症者向けの経口治療薬は、国民が安心して暮らせるための切り札となる」と厚生労働省が発表した通り、昨年の12月24日に速やかに特例承認されたのが、メルク社製の新型コロナウイルス経口治療薬『モラヌピラビル』です。
この経口治療薬はどのくらい期待できるのでしょうか!?

用法・用量
・投与対象は18歳以上で重症化リスクのある軽症、中等症患者
・発症5日以内に使用をはじめ1回4錠を1日2回、5日間服用する
・妊婦には胎児に奇形が生じる可能性があり使用を認めない

作用機序
細胞内でのウイルスRNAの合成を阻害することでウイルスの増殖を防ぎます

 

モルヌピラビルの有効性は?

今回この新薬を評価するにあたって問題になったのは治験の第3相試験です。この試験で対象となったのは新型コロナウイルス感染者と診断された軽症、あるいは中等度の患者のうち重症化リスクが1つ以上ある患者です。(重症化リスクとは60歳以上、活動性の癌、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、BMI30以上、心臓疾患、糖尿病)
この治験者を2群に分けて1群はモルヌピラビルを、もう1群はプラセボ薬(本物の薬と見分けがつかないが有効成分が入っておらず臨床試験に使用するためのもの)を投与してその重症化や死亡の有無を検証します。

この試験の中間報告では入院・死亡のリスクを50%下げた、ということで大変期待されました。
しかしその後最終的な解析の結果30%であったと下方修正されました。このためフランスは治験の結果が良くなかったとしてモルヌピラビルの発注を取り消し、ファイザー社製の「パクスロビド」へ切り替える方針となりました。
この入院、死亡リスクがおよそ30%減少するという結果については議論の分かれるところではありますが、今回治験の調査対象が限定的であったことなどから有効性の評価はまだこれからの部分もあるでしょう。

しかしこれまでは抗体薬が中心で、現在蔓延し始めているオミクロン株などスパイクタンパクが変異していくとその効果が薄れてくる可能性があるのに対して、モルヌピラビルはウイルス変異の影響を大きく受けることがありません。またその他の薬物との相互作用も認められず、腎機能や肝機能障害にも対応できることから非常に使いやすい薬と言えます。ただし妊婦さんへの使用は不可です!

まとめ

現在、モルヌピラビルの使用は重症化リスクがある患者のみで限定的です。今後感染初期の一般軽症者への投与、また罹患してしまった患者の家族や同居者への予防投与への効果など今後の研究結果が気になるところです。

 


 

執筆
竹内 敦子
たけうち あつこ

株式会社Central Medience
薬事センター管理薬剤師

昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、株式会社セントラルメディエンスの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。 

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