
日本初!新型コロナウイルス感染症、発症予防薬として認可されたロナプリーブとは?
産業医ラボ.com専属 管理薬剤師が解説します
日本で初めて「ロナプリーブ」が新型コロナウイルスの発症予防薬として厚生労働省に承認されましたが、もしかしたら聞いたことがある?なんて方もいらっしゃるかもしれません。今回のコラムでは、ロナプリーブとは?どのような状況で予防薬として使用できるのかなど、「新型コロナウイルス予防薬に認可されたロナプリーブ」について産業医ラボ.com専属管理薬剤師が解説いたします!
■ロナプリーブとは?
2021年11月、日本で初めて新型コロナウイルスの発症予防薬が承認されました。これは新しく承認された薬があるわけではなく、これまで軽症から中等度の症状の患者に対する治療薬として今年7月に認可された中外製薬の抗体カクテル療法に使われるロナプリーブです。抗体カクテル療法と言えば聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
いよいよ外来診療でも投与開始 抗体カクテル療法は、新型コロナウイルス治療の救世主となるか?産業医ラボ.com専属管理薬剤師が解説します!
■抗体カクテル療法との違い、投与対象は
今回の承認はこれまでの治療薬としてではなく、発症予防薬として適用の拡大ととらえることができます。
変更点:
効能追加「SARS-CoV-2による感染症の発症抑制」
用法追加「単回皮下注射」
ワクチン接種もかなり進みましたが頭打ちになりつつある中、第6波へ向けた対策の一つと考えられます。
しかし投与対象は“限定的”です。
①コロナ患者と同居する家族などの濃厚接触者で感染していない人
共同生活者などの濃厚接触者または感染していても無症状の人
②原則として新型コロナウイルス感染症に対して重症化リスク因子のある人
③さらにワクチン接種をしていない人、もしくは接種していてもワクチンの効果が不十分と考えられる人
これらの要件では高齢者施設などのクラスターも対象になりますが、注意すべきは飲み会などのクラスターは対象外ということです。さらに、②の重症化リスクのある人に限られます。また③のワクチンの効果が不十分な人というのは、がん治療中や臓器移植などで免疫抑制状態にある人がこれに相当します。
用法としてはこれまで点滴のみでしたが皮下注射が適用されるようになったため、外来での投与が容易になりました。しかし医師が本当に必要と判断した場合の限定的な使い方になります。
■まとめ
抗体薬と呼ばれますが広く発症を防ぐためのワクチンとは全く役割が異なります。感染予防を進める上ではワクチン接種を進めることが第一選択です!しかし、いろいろな事情でワクチンを打てない人、ワクチン接種で効果が十分に得られない人に対しても新型コロナの発症を抑制する選択肢が増えることになる臨床的意義は非常に大きいと考えられます。
出典:新型コロナウイルス治療薬の特例承認について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22075.html
■ 執筆 ■
竹内 敦子
たけうち あつこ
株式会社メレコム
薬事センター管理薬剤師
昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、同グループ会社 株式会社MeRecomの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。
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