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【不眠の方必読】睡眠薬と睡眠補助薬ってどう違うの?効果を学んで使い分け、睡眠改善に役立てよう!

【不眠の方必読】睡眠薬と睡眠補助薬ってどう違うの?効果を学んで使い分け、睡眠改善に役立てよう!

 

■CHECK POINT!

①不眠の原因とは?世代別にご紹介します!
②睡眠改善薬と睡眠薬、どう違うの?
③症状に合わせて使い分けて睡眠改善をしよう!

 

何らかの身体的理由や悩みなど、心因的要因によって夜寝付けなくなり“私は不眠症ではないか?”と思われている方は多いのではないでしょうか?今回は、多くの日本人が何らかの悩みを持っているといわれる不眠、睡眠薬、睡眠補助薬に関するコラムをご紹介いたします!

 


 

不眠症はなぜ起こるの?

不眠症とは「入眠障害、熟眠困難、中途覚醒などの睡眠問題が1か月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・ 集中力低下・食欲低下などの不調が出る状態」のことをいいます。 誰でも不眠という状態を経験したことがあることでしょう。しかし原因になっている問題を解決し、生活習慣や環境を改善することで概ね不眠状態を解消することができます。

では、世代別に不眠の原因をみてみましょう。若い人はスマホを触っている時間が長く、明るい画面で目が冴えてしまって眠れないなど現代の社会を反映する結果となっています。高齢者は日中あまり動かない、昼寝のし過ぎなどが原因で夜寝付けないということが多いようです。

不眠のタイプは大きく4つに分類されます。この4つの症状は、1つだけではなく組み合わさって起きることもあります。

入眠障害  なかなか寝付けない、寝付きが悪い
中途覚醒  眠れても、夜中に目が覚めてしまう。さらにそこから寝付けない
早朝覚醒  朝早く、まだ起きる時間ではないのに目が覚めてしまう
熟眠障害  ぐっすり眠れた感じがしない

産業医ラボ.comでは睡眠障害についてのコラムも更新しております。不眠症チェックや薬を利用しない睡眠改善などをご紹介しておりますので、こちらもぜひご活用ください!

睡眠障害のコラムはこちらから!

 


睡眠改善薬と睡眠薬、何が違うの?

なかなか眠れないとき、睡眠薬を使ってみようかな…?なんて思ったことはありませんか?薬に頼るのが怖くて手が出せないという方もいるかと思います。ではどのような種類の睡眠薬があるのかをご紹介します。
睡眠薬は大きく2種類に分類されます。ひとつ目は”睡眠改善薬”として薬局で買える医薬品(OTC医薬品) で、2つ目はいわゆる”睡眠薬(睡眠導入剤)”で、医療機関で処方してもらう医薬品です。

睡眠改善薬と睡眠薬、どちらを使えばいい?

2種類の睡眠薬のうちどちらを使えばいいのか、それぞれの特徴や注意する点をご紹介します!

睡眠改善薬とは?

睡眠改善薬は一時的な不眠症状*に使用するもので、その主成分は抗ヒスタミン薬です。”抗ヒスタミン薬!“よく聞きますね。風邪薬やアレルギー治療に用いられています。風邪薬を飲むと眠くなることがありませんか?抗ヒスタミン作用のうち“眠気!” という副作用を利用した薬です。現在商品としてドリエル、ネオデイ、アンミナイトなどが市販されています。睡眠誘発作用は比較的緩和で、自然に近い眠りに導く効果があります。また連続して使用すると耐性ができて効果が低減してしまうので連続使用は2~3日までとなります

*一時的な不眠とは、「精神疾患等病的な原因のない人が経験する一過性の不眠」のことを言います。

以下のような原因で不眠になっている方は睡眠改善薬の適応ではありません。自己判断せず医療機関へ受診して指導を受けてください。
①不安症、うつ等の精神疾患がある
②痛みや痒みなどの身体的症状によって眠れない
③不眠の状態が3か月以上続いている(慢性的な不眠)
④足がムズムズしたり虫が張っているように感じる
足を動かさずにいられないような人(ムズムズ足症候群の可能性)
⑤7~9時間寝ているのにまだ眠い
日中の活動低下がみられる(睡眠時無呼吸症候群の可能性)

睡眠薬(睡眠導入剤) とは?

医療用睡眠薬としては従来使用されてきた”ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬”とさらに新しい睡眠薬があります。効き目の強さではなく長さによって使い分けます。

超短時間型:(半減期が2~4時間程度)
ゾルピデム(マイスリー) トリアゾラム(ハルシオン) など
短時間型: (半減期が6~12時間程度)
ブロチゾラム(レンドルミン) ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール) など

不眠のタイプの中でも入眠障害で慢性的でなく一過性に不眠を感じる場合に使われます。作用時間が短いので寝始めに効果があり3~4時間で減少するので目覚めが良いという特徴があります。効果が短いため朝まで効き目を持ち越すことが少ないので利用しやすいのですが、つい頼りがちになり依存しやすいので注意が必要です

 

中時間型: (半減期が12~24時間程度)
フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース) ニトラゼパム(ベンザリン、ネルボン) など
長時間型: (半減期が24時間以上)
クアゼパム(ドラール) フルラゼパム(ダルメート、ベノジール) など

寝ても途中で目が覚めてしまい、一度目が覚めると目がさえてなかなか寝付けない。早朝に目が覚めてしまい、寝たいのになかなか寝付けない。など中途覚醒や早朝覚醒などに選択されます。熟眠障害でも症状に応じて使われます。作用時間が短いタイプに比べて依存や離脱症状は少ないですが、効果が長く続くので翌朝、日中まで眠気が続いてしまう“持ち越し効果”が出やすいので注意が必要です。

 


まとめ

睡眠薬の使用法として時差ボケの解消や緊張を和らげるためなど海外へ持って行くこともあるのではないでしょうか?しかし日本では承認されている薬でも各国ではその対応は異なります。例えばサイレースなどのフルニトラゼパムはアメリカでは所持することも禁止されています。うっかり罰せられることがないよう、持ち出す場合は各国の大使館や主治医への確認が必要です。

 どのタイプの睡眠薬でも言えることですが、不眠症の治療においては必ずしも薬の使用は第一選択ではありません。睡眠薬を使いながら不眠の原因を根本的に解決することが治療の目的で、一時避難的に使うものであり常に服用するものではありません。自己判断することなく必ず医師の指示に従い、日中健康に活動できることを目指して生活の改善に取り組んでいきましょう!

 

■ 執筆 ■
竹内 敦子

たけうち あつこ

株式会社メレコム
薬事センター管理薬剤師
昭和55年に薬剤師免許を取得。
その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。
後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。
現在は、同グループ会社 株式会社MeRecomの薬事センターにて
専属薬剤師として活躍している。 

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