
3月は「自殺対策強化月間」
昨年の小中高生の自殺者数は過去最多
職場でも参考にしたい、自殺予防の10ヵ条や相談への対応を紹介します
2022年の自殺者数は2万1584人となり、2021年の確定値と比べ577人増え、2年ぶりの増加となりました。そして小中高生の自殺者数は512人と過去最多となっています。
3月は「自殺対策強化月間」のため、今回は自殺予防10箇条や、自殺について相談をされた場合の対応を当社専属の精神保健福祉士がご紹介します。
■自殺の予兆
死にたいと考えている人は、本人の自覚がある・なしに関わらずSOSを発信している場合が多いです。
そのSOSを的確に捉えるためにも、厚生労働省が発表している働き盛りの人の自殺予防10箇条をご紹介します。
1.うつ病の症状に気を付ける
2.原因不明の身体の不調が長引く
3.酒量が増す
4.安全や健康が保てない
5.仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
6.職場や家庭でサポートが得られない
7.本人にとって価値あるものを失う
8.重症の身体の病気にかかる
9.自殺を口にする
10.自殺未遂に及ぶ
引用元:厚生労働省 職場における自殺の予防と対応
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/03.pdf
■自殺の予兆が見られる従業員への対応
冗談ではなく「死にたい」と言ったり、自殺についての相談をされた場合は以下のような対応をしましょう。
①話を聴く機会をつくる
「死にたい」と言葉にするようになったり、自殺について相談されたときは、まず何よりも相談者の話をきちんと聴く機会をつくりましょう。相談者は「あなたになら話せる」と思って相談していることが多いため、可能な限りすぐに対応することが大切です。対応が遅くなって相談者が行動を起こしてしまうケースが発生すると、相談されたほうは強い自責の念に苦しむことにもなってしまいます。
②徹底的に聴き役にまわる
自殺を思いとどまらせたい一心で「大丈夫だよ」と励ましたり、「こうしたほうがいいよ」と助言したり、「自殺はよくない」と叱ったり、「気分転換にどこかに出かけたら」などと言ってしまいたくなりますが、まずは黙って相談者の話しを聴くことを心がけてください。そうすることで相談者が自分の気持ちを素直に言葉にしやすくなり、時間をかけて話しを聴くことで本人の自殺に対する衝動が緩和されることもあります。
③産業保健スタッフへの相談や専門医への受診を促す
死にたいと思っている気持ちを勝手に第三者に伝えることは逆効果ですが、うつ病などの精神疾患の存在が疑われたり、自殺の危険性が迫っていると考えられる場合には、産業保健スタッフへの相談や専門医による診断や治療が不可欠です。十分に傾聴を行ったうえで相談や受診を促しましょう。
「自殺について語る人は自殺するつもりはない」と思っている方も多いと思いますが、自殺を考えている人の多くは不安やうつ、絶望を感じており、外側に向けてSOSを発信している可能性が高いです。
そして「生きたい」気持ちと「死にたい」気持ちの間で揺れ動いている状態にあります。
自殺についての相談を受けることは、受ける側にとっても非常に重たいものになると思いますが、このような状態であることを理解し、真摯に話しを聴くようにしましょう。
■ 執筆 ■
大澤 海実
おおさわ あみ
株式会社セントラルメディエンス
産業医ラボ.com専属精神保健福祉士
入社前は精神科のクリニックにて
AC(アダルトチルドレン)やaddiction(依存症)の患者を対象に
数多くの生活相談を受ける。
現在は、当運営会社 株式会社セントラルメディエンスで
産業医ラボ.comの専属精神保健福祉士として活躍している。
主に従業員・一般個人のメンタルヘルス相談や
ストレスチェックに関する企業へのサポート業務を担当。
「大澤先生の一問一答」
https://sangyouilabo.com/category/qanda/
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