
お酒は「百薬の長」
中国では漢の時代にすでにお酒は「百薬の長」としてその健康効果が認められていました。実際、適量の飲酒はストレス解消や食欲増進などにつながるほか、善玉コレステロールを増加させて動脈硬化の危険を和らげるといった効果も医学的に立証されています。
しかし適量のお酒は健康によくても多量のお酒は心身に好ましくない影響を及ぼします。
お酒の適量はどれくらい?
厚生労働省が推進する「健康日本21」では「節度ある適度な飲酒」について壮年男性の場合純アルコール量換算で1日20g以下であるとの数値を示しています。
これは1日ビール500ml(日本酒1合弱、25度焼酎なら100ml、ワイン2杯程度)に相当します。しかし1日の飲酒量がこの3倍以上になるとアルコール依存症になるリスクが高まると警告されています。単純計算すると前述の3倍程度、お酒に弱い人でない限り、ついおいしく飲んでしまう範囲かもしれません。
お酒とメンタルヘルス
適量なお酒はストレス解消になっても不適切な飲酒を続けると肝臓疾患・循環器疾患やがんなどの病気の原因になるだけでなく、うつ、自殺、アルコール依存症といったメンタルヘルスの問題を引き起こす原因ともなります。
さらには本人だけの問題にとどまらず、社会生活にも多大な影響を及ぼすことも起こり得るのです。
お酒とうつ病
海外では、アルコール依存症者のうち約30%がうつ病の診断基準をみたすとする調査がいくつかあり、お酒とうつ病は関連しているといわれています。
お酒を飲むと気分が高揚し普段話すことが苦手な人でも会話ができるようになったという話はよく耳にしますが、これはお酒を飲むことでドーパミンが分泌されているからです。しかし気分の高揚を経験することで飲酒量が増え依存度が高まります。そしてお酒の依存傾向は、うつ病の治療に使われる抑うつ剤に似ているといわれています。よってアルコールに依存するようになるとうつ病が進行する傾向にあります。
お酒と睡眠
お酒は睡眠に様々な影響を与えます。これまでの研究によると、高用量のアルコールでは寝つきは良くなりますが、アルコールが覚めてくると交感神経の活動が高まって目が覚めやすくなります。さらにアルコール摂取を続けると寝つきが悪くなり、睡眠時間が減少し不眠がちとなります。眠れないからまたアルコールを摂取という悪循環が生まれるのです。この不眠もうつ病へのリスクを高めることになります。
毎日お酒を飲む、最近お酒の量が増えた、量をコントロールできない、などお酒の悩みは一人で解決するのは難しいです。まずはお勤めの産業医に相談し、自身のお酒との付き合い方を改善していきましょう。
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