
世界対がんデー(せかいたいがんデー、英語:World Cancer Day)とは
がんへの意識向上と予防、検出、治療への取組を促すために定められた記念日です。
現状
昨今の日本では、年間約100万人近くが新たに何らかのがんに患っています。高齢化と共に、この数値はさらに増加の一途を辿ると予測されます。
一方、国立研究開発法人 国立がん研究センター(*1)によると、全部位全臨床病期の10年相対生存率(病期不明症例を含む全症例)は58.3%(同じデータベースによる5年相対生存率は65.5%)であるとの統計結果がでており、がんを患いながらも就労を継続するという選択をする方々も今後増えていくことでしょう。
がんと共に働くとは
がんの要因の6割が「喫煙」と「食事」であると言われています。禁煙とバランスの良い食事を心掛け、先ずは日ごろよりがん予防を心掛けましょう。
■ がん予防・検診
また、一般的な健康診断(=健診)に加え、「がん検診」も定期的に受診し、早期発見に努める事も大切です。国が推奨するがん検診は、「胃がん検診」「子宮頸がん検診」「肺がん検診」「乳がん検診」「大腸がん検診」の5種類です。がん検診は、あくまで症状のない人が行う検査の為、既に症状のある場合には、検診ではなく、必ず医療機関を受診し、診断のための適切な検査を受診するようにしましょう。
■ がん患者及び家族の支援
治療をしながら就労していく上では、経済面や精神面への支援は欠かせません。ご本人及びご家族に対して、公的な助成・支援制度や介護・福祉サービスを活用できることがあります。全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている「がん相談支援センター」では、利用できる制度、支援の仕組みや、それを受けるための手続きなどの情報を提供しています。また、民間による「がん相談ホットライン」等の窓口もあります。
がん治療と就労の両立を支援する為には、職場における就労支援も不可欠です。「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省)(*2)では、職場における意識啓発の為の研修や、治療と職業生活を両立しやすい休暇制度・勤務制度の導入などの環境整備、治療と職業生活の両立支援の進め方に加え、「がん」について留意すべき事項が取りまとめられています。ご参考の上、予め支援マニュアル等にて規定をしておきましょう。「企業の為のがん就労支援マニュアル」(労働調査会)(*3)等の書籍もございます。また、企業における選任産業医に、人事担当者や就労者ご本人が定期的に面談し、指導やアドバイスを受けられるサポート体制を整備しておくことも重要です。
知識の普及啓発
今や、生涯のうちに、日本人の約2人に1人ががんに罹患すると推計されています(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)。
がん患者ご本人及びご家族だけでなく、社会全体ががんに対する正しい知識を深め、社会全体で環境を整えサポートしていく姿勢があって、はじめてがんと共生しながら働く社会は成り立ちます。がん教育、地域や各団体によるチャリティ活動、ピンクリボンフェスティバル等の啓発活動に各個人が意識を向け、がんに対する知識を深め、何か自分が行動を起こすきっかけとして、今日の『世界対がんデー』がなる事を願っております。
(*1)国立研究開発法人 国立がん研究センター
(*2)事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
(*3)企業の為のがん就労支援マニュアル(労働調査会)